VANMOOF X3 が最高すぎた〈後篇〉

VANMOOF X3 が到着してから2週間ほど。あまり天候の良い日が続いているとは言えず気の済むところまでは乗れていないのですが、近場の買い物やランチの外出で使っている分には、自分には快適すぎるほど快適でした。

1. デザイン

購入に至った理由のひとつは、第一印象となるこのデザインでした。このフレームの直線的なデザインは VANMOOF ローンチ当初からのもの。デ・スタイルの理念を受け継いたダッチ・デザインの特徴を反映し、機能性と審美性が見事に融合した無駄のない佇まいです。

電動アシスト付き自転車となると、一般的には目で見て判る大きなバッテリーパックがフレームに纏わり付き、モーター部も明らかに「機械が付いています」というゴテゴテした外観となってしまいがちですが、VANMOOF のEバイクは電動付きアシスト自転車に必要な部品の全てがフレーム内と前輪のホイール部に収まっています。

パッと見ではややフレームが太いデザインの普通車としか思えないスッキリとした外観は、クロスバイクのテイストもあり、気軽に使える街乗り車として所有する喜びをもたらしてくれる一品です。

VANMOOF の過去モデル。普通車もEバイクも一貫して直線的なフレームでデザインされている。

VANMOOF №5(普通車) / VANMOOF Electrified X(Eバイク) / VANMOOF M2 Tiny 2.2(普通車)

2. フルオートマチック

VANMOOF の電動アシストはフルオートマチックのEバイクで、ギアチェンジも内蔵のコンピュータ任せです。

なので、ペダルを漕ぐ力をダイレクトに車体に伝え、人馬一体となる感覚を味わうロードバイク車のつもりで乗るとおそらく不満を感じることになる。ギアを切り替わるタイミングをこちらの狙い通りに細かく制御することは出来ない () ので、加速のタイミングが自分の意志とはズレて感じてしまうこともあるでしょうから。

その分、買い物の足としての利用であったりフラッと街中を転がすようなポタリングの用途にはうってつけと言えます。

昨今の高級自転車ブームも手伝って多段ギアを備えた高機能な自転車に乗っているライダーをちらほらと見かけるようになりました。しかし、おかしな話ですが多段ギアの「ギアを変えたことがない」というライダーもいるのではないでしょうか。最適なギアを使わなければかえって疲れてしまうことになってしまいますが、どのタイミングでギアを変更すれば最適なのかはその車体を相当数乗りこなしたライダーでなければ感覚として捉え辛いものです。

そのギアチェンジを VANMOOF のEバイクは必要なタイミングで自動的に行ってくれ、坂道などでスピードの維持がライダーの脚力だけでは不足していると判断すれば電動によるアシストも行ってくれる。

アプリではギアチェンジを行う速度のタイミングについて 2つのプリセット + カスタム の3つの中から選択することが可能になっており、好みに合わせて最低限の調整はできますが、「フルオートマチック」というコンセプトは維持しています。

アプリ内に Gear shifting に関するプリセットがある。 / Flat と Hilly の違いは上記のとおり。 Custom についてはこの変速のタイミングを設定可能。

つまるところ VANMOOF のEバイクは乗りこなすための自転車ではなく、身を預ける・身を任すための自転車と言える。その点に誤解がなければ、こんなに快適な自転車はないと思える乗り心地ですし、僕もそのコンセプトに満足しています。

※ファームウェアのアップデートが行われ、 なんとマニュアルによるギアチェンジ機能も付くようです(後述)。

3. 電動アシスト

電動アシスト付き自転車に乗ることがほぼ初めての経験ですので、残念ながら他のEバイクとの比較は出来ないのですが、X3 のみについて言うのであれば快適そのものです。

アシストされているなぁと、特に感じるのは

  • 漕ぎ始め
  • 坂道にさしかかった時

の2つのタイミング。漕ぎ始めに関しては後ろから背中を押されるような加速を、坂道ではペダルにかかる負担が軽く変化することで、電動によるアシストを明らかな形で実感することになります。

漕ぎ始めについてはEバイク自体が初めてのもので最初は違和感を感じるほどでしたが、慣れると癖になるような楽しさがあります。ミニベロ車でやや上り坂の道路に停車してからの最初の一歩は、ヨイ…ショ……ッ……💨 という具合に体力的にかなり苦労してましたが、なんの苦労もなく発進できる体験をしてしまうと笑えてしまうほど。

ベースのアシスト力は 0 - 4 の5段階でアプリ内で設定が可能です。

自身の脚力や好みによる部分ですので最適な値は特にはありませんが、個人的には4だと漕ぎ始めのアシストが強すぎるように感じられたため、 3 に設定しています。

ベースのアシスト力が強いほどバッテリーの消耗は激しくなりますので、充電の必要な頻度を下げたい場合にはこのアシスト力の設定を低くすると効果的です。

ハンドルには2つのボタンが用意されており、走行中に右側のボタンを押し続けた場合Eバイクが「ブースト」状態になります。

この間、Eバイクのアシストが最大トルクを発揮し、

  • 坂道でもう少しパワーが欲しいとき
  • もう少し加速したいとき

に使うと便利で、グッと押される感覚が楽しいです。

4. LED ドット マトリクス ディスプレイ

Eバイクというだけあって X3 にはディスプレイが付いていますが、フレームに LED ドット マトリクス ディスプレイ として埋め込まれています。はい、もうかっこいい。

スピード表示・充電表示・警告アラーム・起動アニメーションなど走行ステータスであったり・設定値であったりが全てここに表示されるのですが、高輝度すぎない上品な発光で視認性もばっちりです。

ドットの解像度は高くないため細かな表示は出来ませんが詳細はアプリで確認できますし、そもそも走行中にじっくりとディスプレイを見るのは危険ですのでパッと見た時の視認性が重要。その点では一般的な電動アシスト付き自転車のディスプレイよりも表示は大きく、あとかっこいいのでとにかく正義です。

5. Apple Watch アプリ

VANMOOF のウェブサイト上には具体的な紹介がされていなかったので使ってみるまで分からなかったのですが、VANMOOF アプリの Apple Watch 版の使い勝手が想定した以上に良いです。

Apple Watch アプリの中には iPhone 版のおまけ程度の適当な実装のものも少なくありませんが、VANMOOF アプリについては Apple Watch 版ならではの使い勝手が実現されているため、わざわざインストールして使う意味があって好印象です。

まず、現在のバッテリーの残量をサッと確認することができるコンプリケーションが実装されており、Apple Watch のウォッチフェイスに常に表示することが出来ます。もちろん、タップすることで Apple Watch アプリをウォッチフェイスから起動することも可能になっています。

Eバイクである以上バッテリーの残量は気になるものですが、不思議なことに iPhone 版アプリには iOS のホーム画面上に設置できる「ウィジェット」の実装が無く、アプリを起動しなければバッテリー残量を知る手段がありません。この点、Apple Watch アプリには重要なアドバンテージがあると言えます。

右下が VANMOOF アプリのコンプリケーション。ウォッチフェイスの四隅への設置用と、中央部分への表示用のサイズも用意されている。

また VANMOOF Eバイクのロック解除にはいくつかの方法がありますが、そのうちの1つが アプリ内のロックボタンタップ です。

Apple Watch アプリでもこれは可能で、利便性を踏まえるとポケットから iPhone を取り出すよりも、常に手元にある Apple Watch アプリで行える方が効率的です。

Eバイクの ベースのアシスト力 と、 ヘッドライト & テールライトの点灯設定 の変更も手元で行うことができます。

ライトについては周囲の暗さに反応してくれる AUTO モードで良いと思いますが、ベースのアシスト力は状況に応じて変更したいことがあると思いますので、信号待ちの時などのわずかな時間に手元で変更が可能なのは便利です。

6. ファームウェアアップデート。ギアのマニュアルシフトが可能に!?

2. フルオートマチックであること セクションで VANMOOF のEバイクがギアチェンジがフルオートマチックの車体であることを説明しましたが、最近行われたファームウェアのアップデートで、どうやらマニュアル操作によるシフトチェンジ機能も追加になった(なる)模様です。

まだ僕のアプリにはアップデートの表示が降りてきていない状態なのですが、順次公開されていっているのかもしれません。

ソフトウェアのアップデートで機能追加が行われるというのはEバイクならではの体験で、今後とも細かなアップデートで乗り心地が改善されることもあるでしょうし、楽しみですね。

操作方法としては

  • Gear Up: 右ボタン ダブルタップ
  • Gear Down: 左ボタン を押しながら 右ボタン ダブルタップ

となるようです。

実際にファームウェアアップデートを行ったユーザーもいらっしゃるようで、走行中にEバイク自体の操作でギアコントロールが可能になる恩恵が得られそうです。マニュアルシフトに慣れてしまうと、ターボブーストは使う必要がなくなるのかもしれません。

7. 懸念点

実際に走って使ってみて、基本的に大満足だった VANMOOF X3 ですが気がかりな点も無くはありません。というのも、特別なEバイクということもありプロプライエタリなパーツが多く使われているためです。

さすがにネジやペダルについては規格品が使われていますが、自転車乗りがカスタムしがちな

  • ハンドル
  • サドル & シートポスト
  • チェーンカバー
  • ハンドルレバー
  • ブレーキパッド

などは専用設計となっており、自転車屋で好みのパーツを購入して気分で付け替えるといった使い方はできなさそうです。ドリンクホルダーについても、設置のための規格に沿った穴もフレームに空いていないため、フレームやハンドルバーに挟むタイプでサイズに適合するものを探さなければなりません。

またアクセサリーについても基本的にはメーカーオフィシャルのものの利用が想定されています。

ここで気になるのは、こうしてカスタマイズの幅が限られるという点よりも、壊れたときや調子が悪くなったときにサポートが必要となった場合です。

日本国内にも VANMOOF のブランドストアは存在しますが、いまのところ東京の原宿にある1店舗のみ(笑)。

僕の場合東京近郊ですので、車を使えば車体を持ち込むのはそれほど苦ではないのですが、上述のとおり専用パーツが多いため自転車専門店で気軽に買えるようなパーツでも修理が難しい or 出来ない場合がありそうなのがネックです。

デザインや機能的にはとても魅力的なEバイクですが、こうしたサポートの状況を踏まえると地方に住んでいる方にはなかなかお薦めしづらい側面もあります。この点については、国内の自転車専門店と提携していただく等してサービスを受けられるハブを早く増やしてもらいたいなと思うところです。

Pro Web Surfer / Design Engineer @ aguije inc. / VanMoofer / Nintendo Addict

Pro Web Surfer / Design Engineer @ aguije inc. / VanMoofer / Nintendo Addict